行政書士試験合格アシスト U 今年の試験を思う
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 はじめに  (2004.7.10)

 昨年の試験はフタを空けてみなければわからないという状態で行われましたので,念のため別途バックナンバーとして残していますように,思い切った予想を試みました。
 けれども,今年の試験は昨年の試験を踏襲したものになりましょうし,これをお手本として,どこの予備校(受験出版社)においても,教材やカリキュラムの改訂が行われたものと思われますので,今年は昨年のようなあれこれの細かな予想をすることは止めにして,思うところをいくつか述べることにとどめます。


 「多肢選択式」なる出題について

(1) 問題の所在
 今一度,昨年度の試験の出題形式をみてみましょう。

試験科目
出 題 形 式
出題数
配 点
満 点
法 令 等
択一式
5肢択一
40題
4点
160点
多肢選択式
3題
8点
24点
記述式
40字程度の短文記述
3題
20点
60点
46題
  
244点
一般知識等
択一式
5肢択一
14題
4点
56点
合   計
60題
 
300点


 昨年度は,法令等の科目で,突如として,"多肢選択式"なる問題が3題出題されました。まさに受験生にとっては不意打ちの出題でした。
 この"多肢選択式"なるものは,私が昨年指摘しましたように,40字程度の短文問題と空欄の数を多くした穴埋問題を併用することによって,試験委員の先生による記述式の採点の負担を軽減する便法として導入されたものと思われますが,手続的にも,内容的にも問題のある出題形式であり,今年度は何らかの手直しの求められる問題です。

*昨年度の私の考察
・・・あれやこれやを考察しますと,せいぜい50字程度にとどめた上で採点対象者を大幅に絞り込むか,あるいは従前のような10文字程度の穴埋め問題を踏襲し,採点は事務スタッフに委ねるも,問題文を今までよりも長文化して空欄の数を多くするという手法しかないように思えます(詳細はバックナンバー「U 新しい行政書士試験」を参照ください)。

(2)手続上の問題点
 行政書士試験の法令等の科目は,総務省告示(行政書士試験の施行に関する定め)によれば,択一式と記述式によって行われることになっていますので,この多肢選択式なる出題型式は,択一式または記述式のいずれかに属することになります。
 択一式の問題とは,日本語の語義としては,正解は1つだけの問題ということになりますが,センターは,個々の4つの空欄に入る適語は1つであることを根拠に択一式に含めるのでしょうか。それとも,4つの空欄に入る適語を指示する番号を解答欄に記述させる記述式の問題とするのでしょうか。
 この点,センターは,ことさら「選択式」とか「選択肢」なる文言を使用していますので,多肢選択式は択一式に含まれるものとしているように思えますが,実施要項に「記述式は,40字程度で記述するものを出題します。」と予告される以上,もし今年度も多肢選択式の出題を予定されるのであれば,「択一式は,5肢択一式と多肢選択式で出題します。」なる旨の予告をされるのが筋といえましょう。

(3)内容上の問題点
 思うに,当初は従前の記述式のように,適語を直接解答欄に記載させる方法を意図されていたところ,それでは多種多様の解答が出現し,事務スタッフによる採点が困難になるところから,やむなく適語を指示する番号を選択して記載させる問題にされたのでしょう。
 けれども,適語は4個のところ,その4倍の16個もの惑わしの選択肢を配した問題であり,大学教授の教授や准教授であられる試験委員の先生(行政書士法施行規則2条の5 )が作られる問題としては,すこぶる"さもしい出題"といわざるをえません。

 上記は主観的な問題提起にすぎませんが,より重要な点は,昨年度の"多肢選択式"を前提とする限り,後に 多肢選択式の解答手法 で考察しますように,この種の問題は純然たる知識問題であり,「より一層法的思考力等を問うものとする」昨年の総務省告示の改正趣旨にそぐわず,その配点は択一式の2倍の8点とされ,しかも部分点方式が用いられている点において,適切な配点とはいえないことです。
 このことは,例えば,問42では1個の空欄に入る適語を選択できれば2点,2個なら4点,4個なら8点獲得できますが,客観的にみて問42よりも解答にははるかに時間を要するであろう問5,59などはズバリの肢を選択できないと0点,選択できてやっと4点であることからも明らかです。
 もっとも,このような配点は,受験生側としては,サービス配点としてありがたく頂戴すればよいということにもなりますが,公的な資格試験としては適切な配点とはいえません。

(4)予想される見直し
 昨年度の"多肢選択式"は,試験委員の先生による記述式の採点の負担の軽減に寄与したものと思われますし,またセンター威信もありますので,おそらく昨年と同様のスタイルで出題されることになりましょう。
 けれども,上述しましたような問題点がありますので,心ある先生の問題提起により,見直される可能性もあります。その場合,法令等科目の出題数は46題,その配点を300点を大前提としますと,想定できるのは次のようなものです。

@昨平成18年度のままの出題形式とするも,枠内のヒッカケ用語は適語の2倍程度の個数に減らすこと。
A多肢選択式を全面廃止して,記述式を平成17年度までの出題形式(空欄4個)と40字程度の短文試験の2本立てとすること。
B多肢選択式を全面廃止し,択一式の出題数を2題増やして42題,記述式を1題増やして4題とし,その配点を19点とすること。

@は品格回復のための措置,Aは配点の不都合性の是正を念頭においたものですが,記述式の2本立てでは,かえって採点の負担は増加することになります。
Bは法令等の出題数46題,その配分点数244点という大枠の下では,択一式の出題数が中途半端な42題,また記述式1題の配点が19点と中途半端になり,採点の負担も1題分増加しますが,昨年の実績からして,40字程度の短文が1題増加してもさほどのものではないでしょうし,総務省のいう「法的思考力等」を考査する問題として,昨年の多肢選択式よりもはるかにベターですので,見直しがあるとすれば,このBが採用されることになりましょう。
 この場合,択一式は憲法に1題,民法に1題配分され,記述式は,憲法,行政法A,行政法B,民法の4題といったところになりましょうか。


 科目別の出題形式と出題数について

 今一度,昨年度の科目別の出題形式とその出題数をみてみましょう。

法 令 等
 科 目択一多肢記述合計配点
基礎法学
2題
  
2題
8点
憲 法
5題
1題
 
6題
28点
行政法
14題
2題
1題
17題
92点
地方自治法
5題
  
5題
20点
民 法
9題
 
2題
11題
76点
商法・会社法
5題
  
5題
20点
total
40題
3題
3題
46題
244点
一般知識等
科 目択一配点
政治・経済・社会
6題
24点
情報通信
2題
8点
個人情報保護
3題
12点
業務関連知識等
文章理解
3題
12点
total
14題
56点



(1)法令等
 科目別の出題形式とその出題数は,おおむね昨年度と同様の出題になるものと思われます。
 もっとも,昨年度の多肢選択式や記述式の配分科目は確定的なものではないので,多肢選択式の見直しが行われなかった場合でも,多肢選択式は憲法1題・行政法2題,記述式は行政法1題・民法2題とと決めつけることはできません。なお,多肢選択式の見直しが行われた場合については,先に考察しました。
 次に択一式については,昨年度の地方自治法5題はこの科目の位置づけからみると出題過多といわざるをえず,その1題は憲法に回され,今年は憲法6題,地方自治法4題になりそうな気もします。

(2)一般知識等
 科目別の出題形式とその出題数は,昨年度と出題になるものと思われます。
 ただ,昨年度の情報通信2題(問53・54),個人情報保護3題(問55・56・57)という出題は,この分野の権威であり,有力な試験委員であられるT先生の影響によるものと思われますが,行政書士は情報通信や個人情報の保護を業する者ではないのだから,この分野への5題は出題過多といわざるをえません。14題という一般知識等の限られた出題枠の中で,「削除された法令については政治・経済または情報通信・個人情報保護において,関連する知識を問う出題がなされうる。」という総務省告示の改正趣旨にもかかわらず,これらを無視して,問53の如き「ファイル交換ソフト」の細かな知識を問う合理的な理由はないからです。
 心ある試験委員の先生は,このあたりを問題とされるでしょうから,今年度のこの分野からの出題3題程度とされ,残る2題については,例えば,行政書士の職務請求書の不正使用,年金問題などの業務に関連した「時の動き」に関する事柄が政治や社会の分野から出題されるように思えます。


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