弁明書関連 道路交通法(放置違反金への弁明)

 ご案内のように,平成18年6月1日から新たな違法駐車対策法制が施行されましたが,このところ頻繁に放置違反金の弁明に関するお問い合わせをいただきますので,この制度のポイントをご紹介いたします。

 1 放置違反金制度の概要

 新たな違法駐車対策法制の骨子は,警察官または警察署長から委託された都道府県公安委員会の登録を受けた法人の駐車監視員が駐車違反をチェックし(放置車両の確認),当該車両の運転者が反則金を納付しないときには,都道府県公安委員会は,その車両の使用者に反則金と同額の放置違反金の納付を命ずることができ,使用者が放置違反金を納付しないときには,車検の拒否のほか,滞納処分により対処し,放置違反金納付命令を繰り返し受けた常習違反者には,一定期間当該車両の使用を制限する命令を発することができるというものです(道交法51条の4〜51条の15)。

手続きの流れ

 その手続きの流れは下図のとおりです。



 2 放置車両の確認等

(1)放置車両

 放置車両とは,「違法駐車をした運転者が車両を離れて直ちに運転することができない状態にあるもの」をいいます(51条の4第1項)。

(2)対象となる車両

 放置違反金の対象となる車両の種類は次のとおりです。
  • 大型自動車
  • 中型自動車
  • 大型特殊自動車
  • 重被牽引車
  • 普通自動車
  • 大型自動二輪車
  • 普通自動二輪車
  • 小型特殊自動車
  • 原動機付自転車

(3)放置車両の確認と標章の取付け

 放置車両の確認および放置車両確認標章(ステッカー)の取付けは,警察官または警察署長から委託された都道府県公安委員会の登録を受けた法人の駐車監視員が行います。
 駐車監視員は,地域住民の意見・要望等を踏まえて策定・公表されたガイドラインの定める場所・時間帯を重点に活動し,従前のようにチョークを使用して駐車の継続性をチェックすることなく,たとえ1分でも「運転者が車両を離れて直ちに運転することができない状態」にあれば,これをデジタルカメラで撮影し,携帯端末機に日時と場所を打ち込んで(証拠保全),違反ステッカーを取り付けることになっています。


 3 交通反則金の処理手続

 放置車両確認標章を取り付けられた車両の運転者が警察署に出頭したときは,いわゆる「青切符」による交通反則金の処理手続により,運転者の責任が追及されます。


 4 放置違反金の処理手続

(1)放置違反金の額

 放置違反金の額は,違法駐車をした運転者が納付すべき反則金の同額で,次表のとおりです。

放置車両の態様 大型車等 普通車 二輪車 原付車
放置駐車違反 駐停車禁止場所等 25,000円 18,000円 10,000円 10,000円
駐車禁止場所等 21,000円 15,000円 9,000円 9,000円
駐停車違反 駐車禁止場所等
(時間制限駐車区間)
12,000円 10,000円 6,000円 6,000円

(2)弁明通知書

 放置車両と確認され,確認標章が取り付けられた日の翌日からおおむね3日を経過しても,運転者が警察署に出頭しなかった場合には,公安委員会より,車両の使用者に対し, 弁明通知書 と 放置違反金の仮納付書 が送付され,車両の使用者の責任が追及されることになります。

(3)車両の使用者

 車両の使用者とは,「車両を使用する権限を有し,車両の運行を支配,管理する人であり,車両の運行について最終的な決定権を有する人(法人を含む」であり,通常は自動車検査証に記載されている使用者です。
 ただし,自動車検査証に使用者として記載されている人であっても,車両を盗まれた人,すでに車両を売却した人などは車両の運行支配権を失っているので,使用者には含まれません。
 なお,ローンで購入した車両については買主,リース車両についてはリースを受けている人,レンタカーについてはレンタカー会社が使用者となります。

(4)弁明書の提出と放置違反金の仮納付

 弁明通知書を送付された車両の使用者は,提出期限までに,当該事案について弁明を記載した書面(弁明書)のほか,自己に有利な証拠を提出することができます。この弁明が認められると,放置違反金は科されません。
 弁明書の様式についての定めはありませんが,弁明通知書の番号,住所・氏名,電話番号を記載し,通知書に記載された「納付命令の原因となる事実」につき,例えば,事実認定に誤りがあることなどを指摘することになります。
 弁明の審査結果は通知されませんが(通知義務を定めた法令なし),照会に応ずる公安委員会もあるようです。

 他方,弁明書を提出することなく,早く終了させたい人は弁明通知書と一緒に送付された仮納付書で放置違反金を仮納付することになります。
 なお,車両の使用者が放置違反金を仮納付した後に,違法駐車をした運転者が違反者として警察に出頭して,反反則金を納付した場合などには,仮納付した放置違反金は,車両の使用者に返還されます。車両の使用者による放置違反金の納付は,二次的な責任と構成されているからです。

(5)納付命令と放置違反金の納付

 弁明書の提出期限が過ぎると,弁明書を提出しなかったり,提出しても弁明が認められなかったときは,放置車両確認標章が取り付けられた日の翌日から起算して30日以内に違法駐車をした運転者が反則金を納付し,または納付しなかったため公訴を提起された場合を除き,車両の使用者に対して放置違反金納付命令が出されます。

(6)滞納処分と車検拒否

 放置違反金納付命令書を送付された車両の使用者が,納付期限までに放置違反金を納付(本納付)しないときには,放置違反金の納付を督促する督促状が送付されます。
 督促状を送付された車両の使用者が,指定された期限までに放置違反金等を納付しないときは,財産の差押えなどの滞納処分が行われることになっています。
 他方,督促状によって督促を受けた車両の使用者が,放置違反金の対象となった車両について車検を受けようとするときは,放置違反金等を納付したことを証する書面,又は滞納処分によって放置違反金等を徴収されたことを証する書面を提示しなければなりません。
 すなわち,放置違反金の納付を督促された場合には,放置違反金等を支払わなければ,車検が受けられないことになります。

(7)車両の使用制限

 繰り返し放置違反金納付命令を出される車両の使用者に対しては,車両の使用制限命令が出されます。
 車両の使用制限命令が出されると,車両の使用者に対して,車両の使用制限書が交付され,対象車両には,運転禁止標章がはり付けられます。この運転禁止標章は,運転禁止期間が終了するまで取り除くことはできません。
 使用制限命令に従わず,運転禁止期間中に対象車両を運転したり他人に運転させた車両の使用者は,3か月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処されます。また,運転禁止期間が終了する前に運転禁止標章を取り除くと,2万円以下の罰金又は科料に処されます。


 5 不服申立て(事後の救済手続)

 公安委員会による放置違反金納付命令は,道路交通法51条の4第4項の規定に基づく行政処分です。
 ですから,この処分を不当または違法とするときは,処分があったことを知った日の翌日から起算して60日以内に,命令を発した公安委員会に対して,異議申立てをすることができます(行政不服審査法6条,45条)。
 また,処分(異議申立てを経由したときはその決定)を違法とするときは,これらの処分があったことを知った日の翌日から起算して6か月以内に都道府県を被告として,処分の取消しの訴えを提起することができます(行政事件訴訟法11条,14条)。


 参考  弁明通知書の具体例

 弁明通知書の細部は都道府県公安委員会によって異なりますが,ご参考までに,その一般的な様式を紹介します。


第    号
年 月 日
○○○○
○○○○殿
○○公安委員会 印

弁明通知書

 ○○公安委員会は,あなたの使用する車両を放置車両と認め,あなたに対し,次の事実を原因とする放置違反金の納付命令を行うことを予定しております。
 つきましては,この事案について弁明がある場合には,道路交通法第51条の4第6項の規定に基づき,書面(弁明書)を提出することができます。
 なお,弁明する事実がないときは,弁明書を提出する必要はありません。また,弁明書を提出せずに,早期に手続を終結させたい方は,裏面の記載に従い,仮納付をすることができます。

弁明通知書の番号第○○○○号
弁明の件名放置違反金の納付命令に関する件
(                  )
予定される納付命令の内容金○○円の放置違反金の納付命令
根拠となる法令の条項道路交通法第51条の4の第4項 
納付命令の原因となる事実 1 違反日時
 2 違反場所
 3 違反車両番号
 4 違反態様
弁明書の提出先○○公安委員会
宛先(住所・担当部署) 
弁明書の提出期限平成 年 月 日 必着
  • 上記の違反を行った者が,納付命令前に道路交通法第128条第1項の規定により当該違反について反則金の納付をした場合又は当該違反について公訴を提起され,若しくは家庭裁判所の審判に付された場合には,予定される納付命令が行われることはありません。
  • なお,納付命令後に反則金の納付,公訴の提起等があった場合は,その納付命令は取り消されることとなります。


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