弁明書関連 弁明手続の概要

 1 弁明書とは

 ある日,○県知事や○県警察本部長などから,営業免許の停止や運転免許の効力の停止などの処分の予告通知,放置違反金の弁明通知書などが届き,「この通知の内容に異議があるときは,弁明をすることができます。弁明をするときは,次により弁明書を提出してください。」と記載されていたら,弁明書を書いて,提出期限までに所定の提出先に提出しましょう。それにより,処分が中止されたり,軽くなるかも知れません。

 弁明書といわれると,チョッピリ構えてしまいがちですが,平たくは,言い訳けを文章にまとめたものです。ですから,どなたも書けるものなのです。
 ただ,どうもうまくまとまらないときや時間がないときなどは,当事務所をご利用ください。


 2 ある種の行政処分に対する事前の手続的保障

 大臣,都道府県知事および市町村長などの行政庁が法令違反を理由として,ある人に対し許認可の取消しや効力の停止などの不利益な行政処分をしようとするときは,イキナリ処分をするのでなく,原則として,前もって一定事項を通知し,処分を受ける人の意見を聴かなければならないことになっています(憲法13条・31条の告知・聴聞を受ける権利の保障=不意打ちの禁止 行政手続法,個別法,各地方公共団体の行政手続条例など)。

 この意見を聴く手続は,行政処分に先だって行われるところから,一般に「事前手続」といわれています。
 事前手続は,「弁明」または「聴聞」によって行われますが,事前手続の一般法である行政手続法は,次のように両者を振り分けています(同法13条)。

  弁  明 聴  聞
基 準 一般的な不利益処分 重大な効果を伴う不利益処分
性 質 処分前の簡便な再考(書面審理) 処分前の慎重な再考(口頭審理)
具体例 一定期間未満の免停・営業停止,道交法の放置違反金の納付命令・免許の仮停止,社会保険給付の制限,施設の改善命令など 許認可等の取消し,地位のはく奪,役員の改任,法人の解散命令など
方 式 行政庁が口頭ですることを認めたときを除き,弁明を記載した弁明書による審理(書面審理の原則) 裁判に準じた方式による口頭審理
当事務所   対応可  × 対応辞退

*弁明の方式は,行政手続法では書面審理が原則とされていますが,口頭審理を原則とし,書面審理を例外とする個別法令もあります(例えば,道路交通法の規定に基づく意見の聴取及び弁明の機会の付与に関する規則14条)。
*聴聞手続への対応辞退は,士業法上の制約によるものです。

 なお,道路交通法においては,公安委員会が自動車等の運転に関し,同法違反を理由として,運転免許の取消し,運転免許の効力を90日以上停止しようとするときは,「公開による意見の聴取」を行わなければならず(同法104条1項),この場合には上記「聴聞」は行われないことになっています(同法104条の2第1項)。


 3 弁明の機会を付与された場合の対処

 不利益処分の予告通知書(弁明通知書)などには,通常,下記の事項を記載した書面が同封されています。

 あなたに対する下記の事実を原因とする処分に係る○法○条○項の規定による弁明の機会の付与を下記のとおり行いますので通知します。
  弁明の件名          ○○○○○
  予定される不利益処分の内容  ○○○○○
  根拠となる法令の条項     ○○○○○
  不利益処分の原因となる事実  ○○○○○

 ★弁明書による弁明の場合★
  弁明書の提出先    ○○○○○
  弁明書の提出期限   ○年○月○日まで

 ★口頭による弁明の場合★
  出頭日時       ○年○月○日午前・午後○時○分
  出頭場所       ○○○○○
  1. 弁明書には,あなたの氏名,住所,弁明の件名及び弁明の機会の付与に係る事案についての意見を記載してください。
  2. 弁明をするときは,証拠書類又は証拠物を提出することができます。
  3. あなたが弁明をしない場合には,あなたに代わって代理人を選任できますので弁明の件名,代理人の氏名及び住所並びに当該代理人に弁明の機会の付与に関する一切の手続をすることを委任する旨を明示した代理人資格証明書を行政庁に提出してください。
  4. 口頭による弁明の機会の付与を行う場合にあって,あなたがやむを得ない理由があるときには,行政庁に対し,変更申出書により,弁明の日時又は場所の変更を申し出ることができます。

 このような通知が届いた場合,放置されても構いませんが,それでは当初予定されている処分が後日そのまま行われることになってしまいますので,できれば,指定された期限までに弁明書を提出されるか,または指定された日時に出頭され,あなたのご意見を述べられることをおすすめいたします。


 4 弁明の内容

 弁明の内容は,通常,次のいずれかになるものと思われます。

(1) 全面是認
 この場合には,反省の弁と法令遵守の誓約を述べ,寛大な処分を願い出ることになります。
 この全面是認の弁明は,格別難しいものではありませんので,ご自分でお願いします

(2) 一部否認
 この場合には,事実関係の一部誤認等を証拠資料をもって指摘するとともに,特別事情の存在などを説明し,処分の再考を上申することになります。
 この一部否認の弁明は,事実認定や法律上の問題点などやや高度の内容を盛り込むことになりますが,ご自分ではどうもというお方は当事務所をご利用ください

(3) 全面否認
 この場合には,事実関係の誤認を証拠資料をもって指摘するとともに,特別事情の存在などを説明し,処分の中止を主張することになります。
 この全部否認の弁明は,行政庁との全面対決を予告するもので,処分後において,行政不服申立て(異議申立て・審査請求)や処分の取消訴訟(行政訴訟)を提起することになりますので,当初からお近くの弁護士先生に相談されることをおすすめいたします
 もっとも,道路交通法上の 放置違反金の納付命令 に対する弁明につきましては,そのコストの面からも弁護士先生に依頼されることは実際的ではありませんので,ご一報ください。リーズナブルな料金で一緒に考えさせていただきます。


 5 弁明手続の限界

 弁明手続は,裁判官ではなく,処分行政庁の補助機関(職員)が主宰します。事後に予定される処分は,蓄積された数多くの先例(いわゆる相場)に基づいて決定されたものですから,明白かつ重大な瑕疵が指摘されないかぎり,変更されるケースは少ないのが実情です(内輪における処分前の最終考案)。
 もちろん主宰者とて人の子ですから,個人的には「ちょっと重すぎるな」と思うことは多々あるでしょう。けれども,弁明手続(事前手続)の段階で,具体的事情を高度に考慮するとすれば,行政処分が遅延するばかりではなく,人による処分となり,かえって処分の不公平を招来してしまいますので,究極の正義は事後手続である不服申立て(異議申立て・審査請求)や行政訴訟で達してもらうことにして,当初予定されている処分の変更を上部に具申するケースは少ない傾向にあります。これ弁明手続の限界であり,過大な期待は禁物です。


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